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***  何か、性質のワルいユメだと思った。首筋に突きつけられた真っ白な日本刀。光を避けるために瞑っていた目を開けば、目の前にはそんなものがあった。息は止めていたし、一ミリたりとも動かないように努めていた。あの閃光で目が見えているはずはない。それでも気づかれていたというのなら、最早生き物としての規格が違う。いや、七夜だというなら、それこそが暗殺者として秀でた部分なのか。  これは俗に詰みと言われる状態だ。首筋に突きつけられた刃は、ほんの少し動いただけで動脈を切り裂きかねない。  だが、おいそれと諦める彼女ではない。何せ、諦めたところで待っているのはバーサーカーの手による斬殺だか圧殺だか殴殺だかよくわからないものだ。どうせ死ぬなら、爪痕の一つでも残さなければ、浮かばれない。  刃の主を見た。遠野志貴。怪物だ。本当に恐ろしいくらい化け物だ。けれど、たとえどんな怪物だろうと、あの閃光で目が見えているはずは無い。その青い目は、凛を見ているようでその実、ほんの少しずれていた。  体を僅かにずらした。そこで白刃が翻れば死ぬ。だが刃は動かない。もう半身、あくまでも慎重にずれた。それで、刃の射程から抜けた。  右手は既に宝石を握っている。遠坂凛が十年間コツコツと溜めた魔力が詰まった宝石。放てばキャスターの魔術にだって対抗する自信がある。加工に費やす時間は無い。だが純粋な魔力としても、脅威足り得るはずだ。 「八番──」  小声で唱えた瞬間、志貴の瞳が光を取り戻した。あと一言「開放」と言えば、志貴を倒せる。志貴もまた己が置かれた窮地に気づいたようで、刃を翻した。一歩踏み込んで刀を振る動作と、一言告げるという行為。そのどちらが早いか。 「解──」  ──あぁ、死んだ。
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